和み宿 新和荘海心日常とはちがう癒しの空間。
緑に囲まれた中庭には、木々の隙間から、光がこぼれだし穏やかなときをすごして頂ける空間です。
フロントのある北棟は客室4室と食事処、南棟には客室6室と貸切風呂2ヶ所があります。
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野菊01 | 浜撫子05 | 山桜07 |
浜撫子01 | 月見草10 | 月見草04 |
月見草06 | 花水木03 | るりはこべ03 |
貸し切風呂
角風呂・丸風呂
丸風呂には、ヒバの木を使用しております。
ヒバは独特の強い香りがあり、こころと身体を癒しせるようにと思っております。
天草のお土産品なども多数取り揃えております。
草木の隙間から日の光が差し込む中庭
自然の光と風、海の香りを感じながら日常の忙しさから解放され、心やすらぐ空間の中庭になっております。
カフェスペース、座敷、食事処、
共有スペース等があり、所々に天草の文化も感じて頂けるスペースとなっております。
各お部屋にトイレ、洗面台完備
建築家の思い
海心の横島さんから御依頼があったのはもう5年以上も前になるだろうか。長い道のりの上でようやく今、その姿が地上にあらわれつつある。
いろいろなことがあった。意見がおりあわず中断することもあった。敷地のみにあきたらず周囲の都市計画までしてしまったこともあった。自分のつまらい不注意で計画の断念を申し上げたこともあった。私が天草から名古屋に引っ越してしまい、もう諦めだと思ったこともあった。
しかし、どうしたことなんだろうか。途切れそうで途切れなかった糸は今日にまで続き、計画が進み、確認申請も降りて工務店も決定し、現場が始まった。今では毎日、大勢の大工が玉の汗で、この現場で腕を振るってくれている。これほどうれしいことはない。
建築は中庭をはさんで二つの棟からなっている。敷地の形状および計画の進行上で満喫してほしいという気持ちがあった。風呂場やカフェを往復する時は中庭を通ることになり一度、外に出ていただくことになる。雨の中や強い風の日は不便を強いることになるだろう。しかし、部屋の中にこもりきりではわかりようのない天草の空気を直に感じ取っていただくためにもあえてこの計画を進言させていただいた。
今は建物の半分が出来上がったところである。全てが完成するのは2004年の4月末。建築の姿かたちよりも、たくさんの人がここに集まって喜んでいただけることを最大の旨として設計を進めた。どうかその思いがかなってほしいと願わんばかりである。
「海心メンテナンス2006秋」
久々に海心に行ってきた。自分の設計した建物だし出来れば頻繁に行きたいところなのだけど、言い訳がましいかな天草から名古屋までという距離もあってなかなか機会も作れていなかった。竣工してからは2年半くらいになる。宿のご主人とはすでに連絡を取ってもいて建物の具合などを聞いてもいたのだが、これといって問題もないとおっしゃる。しかしながらこれはご主人の最上の心遣いであるという事は承知の事であり、自分が泊る数カ月前に親しい輩に宿の建築の状況は見させておいた。聞けば大きな問題はなさそうなものの、建物のあちこちはちょっと手をかけてやるのが良さそうだ。メンテナンスに伺いたい旨をそして伝えておいた。すぐには動けなかったのだがしばらくもして設計コンペで入選したりもし、賞金が出た所でそそくさと一人出掛けて行った。
行ってみてまずはご主人と対面した訳だが、お変わりなくお元気な様子で何よりだった。続いて建物を拝見させていただいたのだが、とても丁寧に使ってらっしゃるのが伝わって来る。旅館であり多くの人が使う場所なので何もかもが新品のままとはいかないが、愛情を持って接してらっしゃるのは床の磨き具合ひとつでわかる。宿で働いてらっしゃる皆さんのお顔も生き生きとしてらっしゃる。しかしながらそれで満悦する訳には当然いかなくて心を引き締め直し建物のあちこちを見てまわる。人間で言えば健康診断のようなものになるだろうか。聞いていた通り大きな問題はなさそうに見えたが、壁柱床にしっかりと近付いて見てみるとあちこち気になる所が出て来た。デザイン上の問題はひとまず置いておくにしても時間が経てば物の老朽化は必然の事で、特に塗装や外壁の事など気になりもし、関係する工務店に来てもらって補修の交渉をしたり、あるいは自分で出来る所は防水したり塗装を施すなどしてあちこちをまわった。塗装するといっても私はプロではないしで、やはり工事の時に塗装に携っていただいた方にアドバイスをお願いしたりもした。いやはや私ごときが実に多くの人に手間をかけさせてしまう訳で、恐れ多くそして何よりも感謝しつつ作業を続けた。
天草にはそうして数日滞在したのだが、そんな間に旧知の方々にあちこちでお会いもした。私の思い出でもあり宝でもある天草はそういう人々に支えられて輝いている。連日歓迎を受け、私としては返し切れないくらいの恩をまたいただいてしまった。有り難い。生きている間に私には一体何ができるだろう、ふと考える。季節は秋で天高くとも日ざしは強く、風はほのかに香っていた。そんな中で少しだけ途方に暮れる。まだまだ若造のくせに。
過ぎた時間は全てそうなのかもしれないが、最終日まではあっという間の事だった。何かのお役に立てただろうかと思う。まだまだ出来た事もあったのではないかと思う反面、やりすぎも良くないと自分が自分に言う。当たり前の事なんだが完成した建物は私のものではない。どうされるかの裁量はお施主さん、ここではご主人に任される訳で、私はわがまま言ってメンテナンスなどとし許しを得、作業をさせていただいたまでの事である。余計な事をやっちまったかもしれないし、余分な事を言ってしまったかもしれない。しかしながらご主人は笑顔ひとつでありがとうを言われる。それはこちらのセリフなのに。再び寄らせていただければと心に思いもし、お伝えした。次がいつかなんてわからないが、この建物に携った者の一人として、どうすればより良き方向に進むのか考え続けたいと思う。
竹中アシュ 1968.03.16 石川県生まれ
2002.02.02 竹中設計事務所アシュ(tel 052-913-9815)を名古屋にて設立 現在に至る